DOR-0042 PRO MIXING 45 for VIP
レコード番号&アルバム名DOR-0042 PRO MIXING 45 for VIP
ジャケット表
ジャケット裏 ー
ー
発表年月 種類 回転数 音源 録音方式 頒布会 同時発表CD VIP 45 DAM
オリジナル
録音 アナログ VIP
第一回 ー チーフ
プロデューサー ディレクター ミキサー 技術 カッティング 備考 行方洋一 行方洋一 竹内昭五
DAM
生録音会 企画 制作 製造 協力 デザイン 技術解説 第一家庭電器株式会社
DAM 東芝EMI
株式会社 山水電気
株式会社 曲目・演奏者 A面1. Sometimes I'm Happy
2. For Once In My Life
B面1. Drink UpVodka Martini
2. I Can't Give You Anything But Love
横内章次トリオ
・横内章次(G)
・稲葉国光(B)
・石松 元(Dr)
木津ジョージ(Vo)
東芝EMI 第1スタジオ
1978年4月16日 今回導入された新技術・企画 カッティング・データ・東芝EMI 第一スタジオでの生録音会と同時録音
・レコード材質にプロユース材使用
・VIPレコード専用「愛蔵家ナンバー」付き DRIVE AMPLIFIER : NEUMANN SAL-74
CUTTING RACE : VMS-70
CUTTING HEAD : NEUMANN SX-74
TapeRecoder : NEUMANN MT-70S(B面)
東芝EMI 川口工場 ごあいさつ
(発表時、解説書記載) 制作にあたって
(発表時、解説書記載)
例年にない暑く永い夏もすぎて、大変すごしやすい季節となってまいりました。
VIP会員の皆様には、充実した日々を、お過ごしの事と存じます。
さて、ながらくお待たせ致しましたが、会員の方々、待望のオリジナル盤が、出来映えも上々のうちに完成致しました。
去る4 月16 日、会員の方々をお招きして、東芝EMI の第一スタジオで、オーディオ業界初めてのスタジオ生録会を行い、大変御好評のうちに、雰囲気も上々のマスターテープを完成致しました。今回は、特に、選びぬかれたVIP会員の皆様に……と、言うことで、東芝EMI のチーフプロデューサーである行方洋一氏に、お願いして、演奏者、当日スタジオのディレクタ一、ミキシング、トラックダウンなど、ほとんど全ての部分を、ワンマンプロデュースして頂きました。
完全なオリジナル録音であると同時に、ライヴ録音の雰囲気も良く出ており、 その上ライブに有り勝ちなSN の悪さ等は、少しも感じられぬほどの出来映えで、耳のこえたVIP会員の方々が十分にご満足頂ける事と自負致しております。
当社と致しましても、末永く御愛蔵していただく為に、愛蔵家ナンバーをつけております。
VIP会員制も、誕生満一年程で、まだまだ至らない点が多々あると存じますが、会員の方々のご意見をおききして、充実した会運営を続けていきたいと存じますので、今後とも、ご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い致します。DAM推進委員会
スタジオ・ライヴ・レコード、この手のレコードは良く見かけるし聴けるものである。
しかし今回のこのレコード用録音は又々別なものであった。
つまりスタジオ・ライヴでありながらそのお客様が録音ミクサーと言う具合だからである。プロが使うスタジオの中での録音会、それも山水のAx-7 と言うミクシングマシーンを使いお客様自身がミクシングをする。いつもの送り出しミクサーとして又いつものレコーディング・エンジニアとして考えると何んとなく気を使う仕事になってしまった。横内章次トリオとは気が合ったムードでいつもの嫌にハッピーに仕事が出来るしボーカルの木津ジョージも気心が知れているしバッグンのポーカリストなので心配はない。
ただ1 つ心配であり一番気を使う事は来ていただいたお客様が本当に上手く音楽を録音していただけるのだろうか?
と言うことだった。
このレコードはその時に演奏した10数曲の中からオーディオ的にも音楽的にも楽しめるものをセレクトして見た。ジョージのハッピーなボーカル、横章トリオの乗りの良い演奏、当日会場で録音していただいた方には自分のミクシングサウンドとの聴き比べにもなるサウンドであろう。マルチTR のテレコをリ・ミックスすることによりこのレコードの様な音作りも可能なのである。
制作者としての立場からこのレコードのポリシーを言おうとすれば次の様な表現になるかも知れない。
このレコードはプロが録音しプロがレコード化するのだからやはりプロ的なものを前面に出そう。そしてやはり録音会での実況録音なのだから来ていただいたお客機の声や手拍子もその現物のムードを伝える1つのSE音としてあつかおう。
ジャズのハッピーな面を前面に出しながらさすがプロ!!こんなレコード作りを考えたわけである。
ステージと言ってもスタジオの片隅、掲所がものすごく狭い所にもって来て横内章次のエレキ・ギターはピークがものすごく高い。音のまわり込みをふせぐ為にも各使用マイクは指向特性の良いものを利用しよう、こんな考えで作り上げたのがこのレコードである。
リ・ミックスでイコライジングを行ない音楽を作り上げたわけだがこのリ・ミクシング時にもこのレコードの制作ポリシーは残っている。オーディオ的に分離の良い音、これはもちろんだがスタジオ・ライヴと云う点も目玉にしよう。サウンドを聴いていただければその辺のポリシーはお解りいただけるであろう。今想うにこれだけの分離で録音出来たのはやはり東芝スタジオだからだと思う。デッドな残響の少ないスタジオならではのサウンドがこの様なサウンド作りには大変メリットとして残って来るのである。
これの演奏場所がライブの所だったらどうだろう。
ドラムスの音がガンガン響きまくりこんな分騒は出来なかったろう。このあたりの話をなぜここに書いたか、これは我々制作者がいつも心に想っていることなのであえて書いたわけだが我々制作スタッフはその現物(録音)によっての色々なマイクテクニックを含むものでカバーしているのである。
"このレコードはものすごく分離が良く良い音だ!!"
こんな一口で1 枚のレコードを得価されてしまうのは非常に制作スタッフとして残念でならないからである。なぜなら条件の非常にきつい場所でも我々スタッフは出来る限りのことをして出来る限りのノウハウを使いレコードを作っているからなのである。
このスタジオでこれだけ素晴しい音が出て来るレコードはなんと素晴しい録音テクニックなのだろう。こんな風に聴いてほしいのである。
演奏場所の良し悪しをまったく気にせずに "このレコードは……" とかたづけられてしまうのは何んとも淋しいのである。
今お聴きいただくレコードはこの演奏会場でのベスト・サウンドである。プロデューサーでありミクサーである私が今までの体験をもとに色々なテクニックを使い作り上げたものである。それも10数本のマイクアウトを当日参加なされたお客様に送り返しながら…… プロのミクシング・サウンド、プロのレコーディングサウンドを皆様の素晴しい再生システムでお楽しみ下さい。あとは周波数を聴くのではなく、音楽をハッピーに楽しんで下さい。チーフ・プロデューサー
チーフ・レコーディング・エンジニア
行方洋一
*敬称は省略させていただきます。
*回転数の「33」は33 1/3回転の略です。